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コメント

 

別れなんていうのは、何もないくらいが僕なんかにはちょうどいい。湿っぽさもぶつけどころのないモヤモヤも全部嘘っぱちだ。

でももし、しずくだうみと恋に落ちたら、どんなさようならが待っているのだろうか。きっと、何もない別れが物足りなく思えるくらい、とんでもないさようならかもしれない。

 

カミイショータ

ほんとうはなんのくったくもなく笑って、通じ合っていられたら、信じられたら。もとめるものが手の上でかたちになってはっきりすくいとれたら。あなたがわたしを純粋にただ見ていてくれたら、わたしがあなたをただ純粋にもとめられたら。せかいは不純物だらけで、透き通った目で見たら歪んで見えてしまうのかもしれない。しずくだうみちゃんの感性が、うたごえが、生きるとき、ごまかしていくものをあらわにしていく、それはわたしにとって救いみたいな気がした。

 

星川あさこ

 

相関関係をナイフで断ち切るのは一瞬で済む。

それを迷いやら未練やらが邪魔して決断に幾年月を経たり、一思いにぶった切ったり、結局断ち切らずそのままであり続けたりと、人間としていきるというのはかくも難しい。そんなことばかり繰り返しているうちにナイフは錆び付いて身体は鎖で巻かれているみたくなっちまう。

 

しずくだうみの歌う現在・過去・未来のなかでは時に突き刺し、時に捨て去り、またある時は巻かれた鎖を解くために、そのナイフがいつも研ぎ澄まされている。闇の中でもそのナイフの輝きは、誰かの道しるべとなる。

 

ニシムラウト(ユームラウト)

 

ポップのメインストリームは、いつの時代、どの場所にあっても、大衆の欲望や不幸を反映したものである。

 その意味では、しずくだうみの諦念に満ちて物分かりが良く、それゆえに多くの引っ掛かりを持つ歌は、爆発的に売れることはないであろう(少なくとも現在までの作品に関しては)。しかし歌というのは何を歌うのも自由であり、また、彼女が静かな支持を得ているのも確かである。

 声高に欲望を叫ぶなんてはしたない、本質的で批評的な呟きを交わす中で丁寧にコミュニケーションを取りたい、という音楽ファンがどれだけ存在するのか判らないが、そうした層にはかけがえのない音楽として響くだろう。落ち着いたピアノの音色と、慎重過ぎて逆につっかえそうな歌声を中心にした過不足ないアンサンブルは、これまでで最も等身大といえる作品かもしれない。

 20年ほど前「日本のベレー帽人口は10万人くらいいるのではないか、その人達に確実に届けたい」といった発言をして、いわゆる渋谷系(ひいてはその後の日本のポップ)を牽引したグループがいた。しずくだうみにとっての「ベレー帽」とは何だろう、と考えながら、歌詞に登場しない『透明コンプレックス』というタイトルを頭の中で転がしている。

 

津田 真

 購入特典

 

ライブ会場特典:血のインクちゃんシール

流通特典:モノクロ透明コンプレックスシール

 

 OTOTOY特典:手書き歌詞カードPDF

 

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